INTERVIEW インタビュー

瀬戸貴幸

 今回のインタビューでは、ルーマニア1部・FCアストラに所属する瀬戸貴幸選手が登場。瀬戸選手は高校卒業後にブラジルへ約2年間留学し、その後日本に帰国。アルバイトをしながらサッカーを続けると、2007年にルーマニアへ渡り、当時3部だったFCアストラへ加入。ここで中心選手として活躍し、チームを1部にまで押し上げた。国内では無名の存在であったが、海外で経験を積み、大きな飛躍を遂げた瀬戸選手。海外でプロへの道を掴むまでの経緯、FCアストラでのプレー、そして自身の将来についてなど、様々な話を伺った。

PROFILE
瀬戸貴幸瀬戸貴幸(せと たかゆき)
1986年2月5日生まれ。愛知県名古屋市出身。高校卒業後にブラジルへサッカー留学し、その後日本のフットサルチームでの活動を経て、ルーマニアのFCアストラと契約。現在はチームの主力選手として活躍している。



-瀬戸選手は高校卒業前のJリーグトライアウトで不合格となり、ブラジルへ留学されています。そのときの心境を聞かせて頂けますか
ブラジルに行くことは楽しみにしていました。兄もブラジルに行っていたこともあって、いろいろな話を聞いていたので、だいたい想像はついていましたね。心配というよりは、楽しみという気持ちが大きかったです。実際に行ってみたら、かなり不安でしたけど…。


-具体的にお兄さんからはどのようなことを聞いていましたか
ご飯がおいしくないとか(笑)。サッカーのことだと「ブラジル人は上手いよ」とかですね。


-ブラジルでは3チームを渡り歩いていますが、ブラジルでのサッカー生活を振り返って頂けますか
最初、アバイというチームにいたのですが、そのときはジュニオールという18歳〜20歳までのカテゴリーで練習をしていました。僕は8月にブラジルに行ったのですが、半年くらいはアバイにいて、年が明けて1月、2月はコリンチャンスの練習に参加していました。そのときにちょうど、ジョー(現所属: マンチェスター・シティ)とかテベス(現所属:マンチェスター・シティ)がいて、トップの練習にも2回くらい参加させてもらいました。その後、またアバイに戻って、3、4ヶ月くらいやって、最後にまた違うチームでという感じですね。


-テベス、ジョーは、世界的にも有名な選手ですが、実際に一緒にプレーしていかがでしたか
いやぁ、やっぱり上手いですね(笑)。


-他の選手と比べても、全然違うと?
そうですね、上手いですね。普通のブラジル人とかも上手いですけど、やっぱりそれとは違ったものがありましたね。


-具体的にはどのような部分に違いを感じましたか
トップの練習に参加したのは2回だけですし、あまり鮮明にも覚えてないので、具体的には答えられないですが…。ただテベスのふくらはぎは僕の2倍ありました(笑)。基本的にコリンチャンスの選手はみんな上手でしたね。


-ブラジルから日本に帰国後は地元愛知でアルバイトをしながら、草サッカーやフットサルでコンディションを保っていたそうですが、大変ではなかったですか?
いや、そこまで苦にはならなかったですね。元々ひとりで練習したりするのが好きなので。あとはそんなにプロ、プロという感じで意識していたわけではないので、焦りはなかったですし、楽しんでいたという感じですね。


-楽しむことを最重点にプレーしていたと?
もちろん、プロにはなりたいと思っていたので。ツテとかでチャンスはないか、いろいろな話を聞いていました。ですが、まずは楽しくという感じでした。もっと上手くなりたいという気持ちでしたね。


-その後、ルーマニアに渡り、トライアウトを経て、FCアストラへ加入されました。入団が決まった時の心境を聞かせてください
入団が決まったときは、本当に凄く嬉しかったですね。ずっと練習生でやっていて、公式戦が始まる1週間前くらいに、「契約どうなってるんですか?」って聞いたんですよ。そしたら、「契約するよ」みたいな感じで。なんかあっさり言われたんで。もちろん嬉しかったですけど、ちょっと何かビックリしたというか、呆気に取られというか(笑)。そんな感じではありましたね。


-シーズン1年目は中心選手として活躍し、7ゴールを記録しました。欧州最初のシーズンは瀬戸選手にとって、どのようなものでしたか
僕は本来中盤の選手ですけど、最初のシーズンはFWだったんですよ。FWで使われると、やっぱり得点が求められるじゃないですか。それが結果として残るので。1日1日を大事にして、毎日の練習からアピールしていました。でも、毎日良いコンディションが続くわけではないですし、悪いコンディションのときもあるじゃないですか。そういったときに周りから凄いボロクソに言われたりするんですけど、それは一番キツかったですね。メンタル的にというか。そのときはひとり(独身)でしたし。そういうのがキツかったですね。


-翌年は2部でベストイレブンに選出されています。シーズン序盤は出場機会がなかった時期もあったようですが、自分自身のプレーに変化はあったのでしょうか
やっぱり気持ちですかね。試合に出ていなかったので、パワーは他の選手より余っているわけじゃないですか。練習でも皆より速く走ったりして監督にアピールして、あとは出番がきたときにどれだけ結果を出せるかっていう部分で、気持ちの部分が大きく変わったと思います。


-1部に昇格後はリーグ戦で全ての試合にフル出場。ゲームキャプテンを務めるなど、完全にチームの顔として活躍されたかと思います。3部から1部に昇格する中で、選手の移り変わりも激しかったと思いますが、ここまでの地位を築いた要因は何だと思いますか
何ですかね。やっぱり日本人は真面目なので、言われた事をしっかりやること。あとは監督やオーナーやスタッフの人たちに気に入られることですかね。


-日本人選手のように忠実に仕事をこなす選手は少ないのでしょうか
もちろん皆、真面目なんですけど、ちょっとキツイことを言うと、力を抜く外国人の選手も中にはいるので。日本人は真面目で良く働くというところで、重宝されるのかなと思います。


-チーム発足メンバーとして在籍していることで、やはりクラブに対する愛着は深いですか
そうですね。今年4年目で、凄く居心地が良いですし、サポーターや、スタッフだったり、チームの人は皆良くしてくれます。離れたくないというか、プレーしていて気持ちが良いというのはありますね。


-今年5月にはサウジアラビアのアル・ナスルからの巨額のオファーを断っています。そのときの心境を聞かせて頂けますか
チャンピオンズリーグだったり、ヨーロッパリーグに出場したいという目標があるので、サウジアラビアに行ったら、ちょっと遠回りになってしまうと考えて、今のチームには可能性があるかなと思って、残りました。


-まったく心が揺らぐことはなかったですか?
その瞬間は、じっくり考えることはなかったんですけど、後からたくさんの人にいろいろ言われて。「やっぱり行ったほうが良かったかな?」と考えたこともありましたけど、結果的には残って良かったと思っています。

-日本代表に対する想いはありますか
やっぱりありますね。


-W杯を機に海外でプレーする選手も増えています。各国リーグで活躍する日本人選手の活躍は刺激になっていますか
そうですね。やっぱり他のリーグで日本人選手が点を取ったら、良い刺激になりますし、「自分も頑張ろう」という思いにはなりますね。


-将来的にJリーグでプレーすることは考えていますか
日本人はやっぱりJリーガーが夢というのがあると思うので。僕自身も子供の頃はJリーガーになりたいと思って、サッカーを始めました。なので、今すぐってわけではないですけど、日本でやりたいって気持ちはありますね。


-今季これまでの戦いを振り返っていかがですか
個人としては去年よりは良いパフォーマンスというか、結果が出ていると思います。良いスタートというか、良いシーズンなのかなと思いますね。チームとしては、去年とあまり変わらないですけど、残留が目標というか、まだまだ上に行くには厳しいチームなので、少しでも多くポイントを取って、残れるようにしたいですね。


-今季の目標を聞かせて頂けますか
今季の目標はアシストなり、ゴールで結果をもっと出していくことです。結果を出していくことで、ルーマニア以外のチームにも見られると思うので。そういう面でもっともっとアピール出来ればと思いますね。


-やはりチャンピオンズリーグや、ヨーロッパリーグでプレーしたいという思いが強いですか?
そうですね。それは今後の目標で、チャンピオンズリーグに出て、あのアンセムを聞きたいですよね(笑)。


-チャンピオンズリーグが最大の目標ですか?
最大の目標は日本代表になって、2014年ブラジルW杯でブラジルに戻るじゃないですけど…。またブラジルに行きたいと思っていますね。